ピアスのトラブル

ピアスによるトラブル

症状

症状ピアッシング(ピアスの穴あけ)は、身体に傷をつける行為として、医療行為に指定されており、医療関係者しかできないことです。ご自身でピアッシングした場合や、たとえ医療機関でピアッシングしたとしても、その後の管理や、体質などから様々なトラブルが起こることがあります。
特に、穴あけ後に痛みがでる、できもの状に腫れて膿や分泌液などがでたり、腫れていなくても痒みがでてきてしまっているなどというケースがあります。
こうした状態を放置してしまうと、感染による炎症から、できものになったり、腫れが大きくなってしまったりといった症状が生じて、ピアスが耳垂に埋没してしまうこともあります。
こうした事態を避けるため、ピアッシングによって、気になる症状が現れた時には、できるだけ早めに専門医を受診することをお勧めします。

治療部位

耳たぶ

耳たぶ耳たぶの軟骨部分(トラガス=耳介の頬側の三角になっている軟骨部分、アンチトラガス=トラガスの対称となる三角形の軟骨部分、インダストリアル=耳の上部頬側から斜めにうなじ側へと横断する箇所、ヘリックス=耳介の頂上部、インナーコンク=耳介の軟骨の内側のくぼんだ部分、ロック〈ロークとも〉=耳介内部の軟骨が内にくぼんでいる場所の上端)
眉・鼻・唇・舌・へそ など

症状と治療について

ピアスホールの感染

症状

ピアッシング後すぐには、ピアスホールは完成しておらず、まだピアスホールは傷の状態になっています。そんなときに細菌が入り込むと、感染してしまうことがあります。
また、ファーストピアスを外して、希望のピアスをつける際に、かたまりかけていたピアスホールを傷つけてしまうようなケースでも感染が起こります。
感染してしまうと、炎症となり、痛みや痒み、熱のある腫れといった症状がでて、膿や分泌物がしみ出してくることもあります。

治療

ファーストピアスなどを一度外して、傷口の処置をした後、細いシリコンチューブをピアスホールに留置します。これにより、炎症を抑え、膿を排出してピアスホール内に膿が溜まるのを防ぎます。同時に抗菌薬の塗り薬や内服薬を使用して炎症を抑えます。
治りにくい場合、ピアスを外して感染による炎症を落ち着かせ、完全に感染が治まった後に再度ピアスホールを開けることになります。

ピアスの埋没

症状

耳の厚さにあわないピアスをつけている場合や、ピアスをつけたまま横向きに寝てしまい圧迫された場合などでは、ピアスが耳の皮膚に埋没してしまうことがあります。埋没に伴って細菌感染を起こしてしまうことも少なくないため、早急に処置が必要になります。

治療

局所麻酔の上、埋没しているピアスを掘り出します。その際、切開が必要になるケースもあります。細菌感染によって炎症を起こしている場合は、抗菌薬の塗布や内服などの治療が必要になることもあります。

ピアス裂傷

症状

服の脱ぎ着の時など、ピアスを何かに引っかけて強くひっぱってしまうと、その力で耳が切れてしまうことがあります。これをピアス裂傷と言います。また、急激な力でなくとも、重すぎるピアスを付け続けることによって徐々にピアスホールが広がって、ついには切れてしまうこともあります。この場合は慢性のピアス裂傷です。修復手術を行うことになりますが、耳の形が変わってしまうことも多く注意が必要です。

治療

耳が切れてしまうと、その切断面それぞれに皮膚が再生してしまうため、自然にくっついて元に戻ることはありません。局所麻酔をした上で、切れてしまった部分を修復する手術を行います。特に慢性のピアス裂傷では、耳の組織が足りなくなってしまっている部分を、別の部分から移植するなどの手法をとらなければならない場合もあります。耳の形はどうしても以前の通りにはなりません。
この手術は当院では実施しておりませんので、専門機関をご紹介します。

表皮嚢腫

症状

空けたばかりのピアスホールは、まだ傷の状態で、ピアスを開けた箇所は、時間の経過とともにだんだん表皮ができてきます。このとき何らかの理由で、できてきた表皮がめくりかえって皮膚の中に入り込むことで、嚢胞ができて皮脂や皮膚の老廃物などが溜まってしまうことがあります。これがピアスによる表皮嚢腫で、傷によってできる外傷性粉瘤の一種です。

治療

粉瘤と同様、袋になっている部分が表皮嚢腫の本体です。そのため、局所麻酔の上、袋ごと病変部分を切除します。耳は非常にデリケートな部位で、皮膚も薄いため、嚢腫の摘出によって跡が残ってしまうことや、皮下組織が足りなくなって、別の部分から移植を行わなければならないようなケースもあります。そのため耳たぶが小さくなってしまったり、形が以前と変わってしまったりして、左右がアンバランスになる場合もあります。

ピアスケロイド

症状

ピアスによってケロイドを起こすことがあります。特にケロイド体質のある方や金属アレルギーのある方はピアスホールを開けることはお勧めできません。
患部は赤く腫れて硬く盛り上がってしまい、放置すればだんだん大きくなっていきます。また自然に治ってしまうこともありませんので、早めに皮膚科や形成外科などの専門医を受診してください。

治療

ピアスホールを開けることは、傷を作ることです。この傷がもとになって、傷を治そうとしてできる組織が過剰に増えてしまい、盛り上がってしこり状になります。
ケロイドで盛り上がってしまった部分は、切除しても再発することが多いという特徴があります。そのため、治療としては、ステロイド薬の注射やテープによって行いますが、耳の変形が激しい場合などは、外用薬治療や注射では治まらないことも多く、その際は手術とステロイド薬の併用で治療します。
ケロイド体質の方に多いのですが、これまでケロイドを起こしたことがなくても、ピアスホールが何らかの理由で炎症をおこしたりすることが引き金となってケロイドになることもあります。

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